【補聴器買い替え日記②】お試し機は両耳で70万円超え!?最新補聴器の驚くべき進化と、つけた瞬間のリアルな本音。

前回は、教員生活を8年間支えてくれた相棒(ワイデックス)の不調をきっかけに、新しい耳鼻科の先生から「最新の補聴器を試してみませんか?」と、思いがけない提案をいただいたところまでを書きました。

今回はその続き。いよいよ手元に届いた「最新の試聴機」のファーストインプレッションと、8年の歳月がもたらした驚きの進化(機能編)についてお届けします!

目の前に現れた、70万円の「シルバーの新相棒候補」

先生の勧めで最初にレンタルすることになったのは、フォナック(PHONAK)の「インフィニオシリーズ(耳かけ型RICタイプ・スタンダード)」という2025年の3月に発売されたモデルです。

これまで使っていたワイデックスは「黒」で、そのスタイリッシュな見た目がとても気に入っていました。そのため、今回目の前に現れた試聴機が「シルバー」だと知った時は、正直に言うと少しだけ「あ、黒がよかったな……」とテンションが下がってしまいました(笑)。

しかし、そんな見た目の好みを一瞬で吹き飛ばす事実が発覚します。

提示された参考価格は、なんと両耳で70万円超え……!

「えっ、ななじゅうまん……!?」と、頭の中で軽自動車や大画面テレビの価格がぐるぐると駆け巡りました。高価なのは分かっていましたが、補聴器を購入するのは8年ぶりなので、改めて価格を見て驚いてしまいました。これから数週間、私はこの小さな借り物の精密機械を耳にぶら下げて生活するわけです。もし学校の運動場で子どもたちと全力疾走した拍子に落としたら? 紛失したらどうしよう!? 借りた瞬間から、管理に対する凄まじいプレッシャーに襲われました。😭

電池交換からの解放! 驚きの充電事情

気を取り直して、さっそく最新の仕様をチェック。まず驚いたのが、電池式から充電式への移行でした。

8年前に買った補聴器は、小さな空気電池を常にストックし、切れるたびに交換するのが当たり前でしたが、今はスマホのように充電するのが主流なのだそうです。

しかも、一緒にかりた充電ケースが信じられないほどハイテクでした。

ただの収納ケースではなく、ケース自体がモバイルバッテリーのような仕組みになっています。あらかじめケースを充電しておけば、コンセントがない場所でも、補聴器を中にセットするだけで最大3回もフル充電が可能とのこと!

これなら、学校の行事で泊まりがけの修学旅行や林間学校があっても、アダプターを持ち歩かずにこのケースだけ鞄に入れていけば安心です。

さらに、今回のインフィニオには「ウォーターブロック機能」が備わっており、水や汗にもめちゃくちゃ強いそうです。汗だくになる夏の体育の授業などで故障を恐れずに使えるのは、本当にありがたい進化です。

18倍の学習データを持つ、驚異の「知能」

パンフレットを見せてもらうと、中身の進化はさらにすごいものでした。

なんと、従来の機種に比べて18倍の音響サンプルを学習した新しいOS(人工知能のようなもの)が搭載されているとのこと。これにより、周囲の音環境を瞬時に検出する精度が24%も向上しているそうです。

さらに現代の補聴器らしく、スマホでBluetooth機器と簡単に接続が可能。専用アプリをダウンロードすれば、スマホが補聴器用のリモコンになるほか、万が一耳から落ちてしまった時に「紛失した補聴器を探す機能」までついているのだとか! 補聴器は高価なものなので、このお守りみたいな機能は本当にありがたいと思いました。

いざ、運命のスイッチON!……あれ?

説明を受けた機能面の凄さに圧倒されつつ、いよいよ緊張しながら両耳に装着。

「8年ぶりの最新技術、一体どんな劇的な世界が広がるんだろう……!」と、映画館のプレミアムシートに座ったようなワクワク感で耳を澄ませました。

カチッ。

……。

…………あれ?

私の率直な最初の感想は、「よく言えば、めちゃくちゃ自然。悪く言えば、前の補聴器とあんまり変わらない……?」
でした。

もっとこう、「世界がパッと明るくなった!」とか「遠くのヒソヒソ話まで全部聞こえる!」みたいなドラマチックな感動を期待していたのですが、驚くほど普通なんです。

しかし、家に帰って自分の部屋で過ごしているうちに、ある「静かな違和感」に気づきました。

これまでのワイデックスは、電源を入れると「右準備完了」と喋ってくれた後、部屋の換気扇の音や外を走る車のロードノイズまで、全体の音が「よっしゃ、大きくするぞ!」と一斉に立ち上がる感覚がありました。良くも悪くも「機械を通した音」を聴いている感覚があったのです。

でも、このインフィニオにはそれが全くありません。

静かな部屋にいると、補聴器をつけていることを忘れるくらい、自分の耳の延長線上にあるようなナチュラルさ。

「もしかして電源が入っていないのかな」と思い、試しに自分の服をこすってみたり、机をトントンと叩いてみたりすると、その音はしっかりクリアに耳に届きます。

なるほど、最新の技術というのは、「音を大きく響かせる」のではなく、「周囲の雑音や違和感を徹底的に削ぎ落として、極限まで自然にする」方向へ進化しているのかもしれない。そう思い始めました。

とはいえ、ここは静かな自宅のリビング。

この最新OSが持つ「18倍の学習データ」や「音環境の検出力」が真価を発揮するのは、こんな静かな場所ではないはずです。

勝負の舞台は、1日の中で最も音の洪水に晒される場所――そう、「小学校の教室」です。

ざわつく教室、元気いっぱいの子どもたちの声、鳴り響くチャイム。

この過酷な環境に、70万円のシルバーの相棒候補を連れ出したとき、私の耳には一体どんな変化が訪れるのでしょうか。

次回、【補聴器買い替え日記③・現場検証編】「最新補聴器、小学校の教室へ」。

実際に授業や休み時間を過ごしてみて気づいた、リアルな感想をお話しします。

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