こんにちは! おはしです。
先日耳鼻科に行ったとき、耳鼻科の先生から言われた言葉が印象に残っています。
「軽度や中等度の難聴であっても、子どもの学習や人間関係には本当に大きな影響が出るんですよ」
私自身、中等度の難聴です。 普段は小学校の教員としてたくさんの子ども達と関わっています。
しかし、職場で軽度・中等度難聴が話題になることはほとんどありません。
これまで、仕事中に聞こえで困ることをたくさん書いてきましたが、これからは「聞こえにくさを抱える子どもの視点から見る学校生活」についても、書いていくことにしようと思います。
第1回目の今回は、聞こえにくい子ども達について考えたことをお話しします。
外からは見えない「聞こえにくさ」
まず知っていただきたいのは、大人か子どもかに関わらず、聞こえにくさは「外見からは気づきにくい」ということです。
身体障害者手帳の対象となる高度・重度難聴であれば、早期に発見され、補聴器や人工内耳を装用していることが多いです。 しかし、手帳の基準には届かない軽度・中等度の難聴や、音としては聞こえているのに言葉として認識しにくい「Lid/APD(聞き取り困難症/聴覚情報処理障害)」などを抱える子どもの場合、補聴器をつけていないことも珍しくありません。(Lid/APDは、一般的な聴力検査では異常が見つかりません。)
見た目には、他の子と何ひとつ変わらないのです。
さらに、小学生は成長や発達の個人差がとても大きい時期でもあります。 例えば語彙が少なかったり、指示の理解がゆっくりだったとしても、周囲の大人は「この子の発達のペースかな」「ちょっとおっとりしているのかな」と考えがちです。 「耳の聞こえにくさ」を疑うことはあまりありません。
家庭と学校との違い
難聴やLid/APDでも、家では普通に会話できている、という子もいると思います。
これが大きな落とし穴です。
家の中のように静かな環境で、家族と1対1や少人数で、近い距離で話しているときには、軽度・中等度難聴やLid/APDであっても問題なく聞き取れるケースも多いです。
しかし、学校の教室に入ると環境は一変します。 大勢の子ども達の、鉛筆で書く音、椅子を引く音、話し声……。 雑音があふれる教室の中で、聞きたい声や音にピントを合わせて聞き取るのは、静かな家庭での会話とはまったく違った難しさがあります。
自分の聞こえにくさに気付けない
子ども自身、「自分は聞こえていない」と自覚できていないことも多いようです。
生まれたときからその聞こえ方で生きている子どもにとって、自分の聞こえの世界が普通で、当たり前です。周りの友達がもっとクリアに音を聞き分けていることなんて、知る由もありません。
また、少し違和感を持っていたとしても、
- 「えっ?」と何度も聞き返すのが恥ずかしい
- 周りの空気を壊したくない
- 先生や友達に笑われたり、怒られたりしたくない
そんな思いから、周りが笑ったら一緒に笑い、周りが頷いたら一緒に頷く――。 そうやって「聞こえているふり」をして、愛想笑いでその場をやり過ごす術を身につけていってしまうことになりかねません。
大人は「ちゃんと聞いて頷いていた」と思っていても、子どもの頭の中は真っ白で、実は何ひとつ伝わっていなかった……ということもあり得ます。
知ることが、気付きにつながる
聞こえないこと自体もしんどいですが、「聞こえていないこと」に誰にも気づいてもらえず、ただ「話を聞いていない子」「ぼーっとしている子」と誤解されてしまうことも悲しいことです。
耳鼻科の先生が教えてくれた通り、聞こえにくさを放っておくと、学力の遅れだけでなく、自己肯定感の低下や人間関係のつまずきへとつながっていってしまいます。
しかし、難聴やLid/APDについて知らなければ、気づくことは困難です。だからこそ、まずは私たち大人がそういう「聞こえにくさを抱えている子がいる」と知ることが必要です。
次回からは、学校のどんな場面で、子ども達がどんな壁にぶつかっているのか、私自身の体感も交えながら具体的に書いていこうと思います。


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