前回の記事では、8年連れ添った相棒(ワイデックス)の不調をきっかけに、新しい耳鼻科の先生から最新の補聴器を試してみるよう提案されたエピソードをお届けしました。両耳で70万円を超える「フォナック・インフィニオシリーズ(シルバー)」というハイテク機をレンタルし、管理のプレッシャーに震えながらも、その驚くほど「自然な聞こえ」に静かな衝撃を受けました。
今回はその続き。いよいよこの70万円の相棒を、私が毎日働く戦場――「小学校の教室」へと連れ出した【現場検証編】をお届けします!
音の洪水。小学校は「高い音」のパラダイス
学校という場所は、とにかく音にあふれています。キーンコーンカーンコーンと鳴り響くチャイム、元気いっぱいの子どもたちの話し声、そして机や椅子を引きずる「ガガガッ」という音。
騒がしい空間ですが、私にとって、この環境にはある大きな天敵が潜んでいます。それが「高い音の響き」です。
実は8年前、最初にワイデックスの補聴器をつけたときもそうでした。電源を入れた瞬間から、チャイムの音や、子どもたちが机や椅子を引く音、子どもたちの高い声が耳の奥に突き刺さるように響いて、頭が痛くなるほどだったのです。当時はお店に何度も何度も通って細かく調整してもらい、できるだけ不快に感じる音をカットしてもらうことで、ようやく学校生活に耐えられる音に抑え込んだという記憶があります。
そのため、今回のフォナックの補聴器も、あらかじめ調整をしてもらった上で、満を持して現場へと持ち込みました。
臨んだ、最初のチャイムと子どもたちの声
朝、教室に入って子どもたちを迎え、いよいよ1時間目の始まりを告げるチャイムが鳴り響きます。
「キーンコーン……」
身構えていた私は、思わず肩をすくめそうになりました。――が、次の瞬間、頭の上に「?」が浮かびました。
うるさくない。いや、むしろ、めちゃくちゃ自然なんです。
確かにチャイムの音はしっかりと聞こえます。でも、事前の調整のおかげか、耳の奥に突き刺さるような「キンキン感」が驚くほど丸くなって、すんなり耳に入ってくる感覚でした。
そして、一番心配だった子どもたちの元気な声。これも、必要な音の大きさとしてはしっかり聞こえるのですが、「うるさくて耳が痛い!」と感じる手前で優しくコントロールされている感覚でした。
授業中、子どもたちが一斉にノートを取り始めたり、プリントをめくったり、次の活動のために椅子を引いたりします。これまでの古い補聴器だと、こうした「机や椅子を動かす音」がガサガサと大きく増幅され、子どもたちの肝心な発言がかき消されてしまうことがよくありました。
しかし、このインフィニオは違いました。椅子を引く音は「あ、今椅子を引いたな」と分かる程度に小さく抑えられて聞こえるのです。
物足りなさの正体
正直なところ、使っている最中は「前のワイデックスに比べて、なんだか全体の音量が物足りないなぁ」と感じる瞬間もありました。
でも、それはきっと、以前の補聴器の調整に私の耳が慣れすぎていて、無意識にそれと比べてしまっているだけなのかもしれません。こればかりは長年の馴染みもあるので、慣れるまではしょうがないと思いますし、好みの問題でもあります。ボリューム自体は今後の調整で変えられますしね。
実際、学校生活を一日送る中で、「ボリュームが小さくて困った!」という場面は一度もありませんでした。
完璧ではないけれど
もちろん、すべての音が完璧に100%聞こえるようになったわけではありません。言葉の聞き取り能力自体が落ちている私にとって、複数人が同時に大声で話すグループワークの瞬間などは、やはり聞き取れない部分もあります。
それでも、今回レンタルした補聴器で感じた「自然さ」は、とても魅力的でした。ケースに補聴器を戻しながら、「あぁ、もう前の相棒には戻れないかもしれないな……」と、少し寂しさも感じました。
こうしてフォナックの素晴らしさを十分に体感したレンタル期間でしたが、実は買い替えの旅はここで終わりではありません。
先生の「せっかくの機会だから、別のメーカーの聞こえ方も試して比べてみましょう!」という提案により、フォナックの補聴器は一度返却することになりました。
次に私の元へやってくることになったのは、「シグニア(Signia)」の補聴器です。
次回、【補聴器買い替え日記④・第2の相棒候補】「フォナック返却!シグニアの補聴器がやってきた」。
メーカーが変わると、聞こえの世界はどれほど変わるのか? 贅沢な補聴器ハシゴ試聴の様子をお届けします。次回もどうぞお楽しみに!


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