コロナが少し落ち着いてきた頃、
学生時代の友人から結婚式の招待状が届きました。
招待されている人の中には、何年も会っていなかった懐かしい顔も。
コロナで長らく自粛生活をしていたこともあり、招待状を見ただけで、胸があたたかくなりました。
さらに、友人から
「受付をお願いできないかな?」
と声をかけてもらいました。
頼ってもらえたことが素直にうれしかったです。
結婚式の受付は初めてでしたが、友人の晴れ舞台、役に立ちたい。
そんな気持ちで当日を迎えました。
式場のスタッフの説明が聞き取れず
式が始まる前、式場のスタッフの方から、受付の流れについて説明がありました。
でも、その説明はマスクごし。
周囲は静かだったのですが、スタッフの方は静かな、落ち着いた話し方をされており、正直、ほとんど聞き取れませんでした。
「今、なんて言ってたんだろう……」
その場ではうなずきながら、
あとで一緒に受付をするペアの人に
こっそり確認させてもらいました。
この時点で、胸の奥に、少し不安が漂い始めました。
参列者の名前が聞き取れない
受付の時間になると、参列者の方が次々と来られました。
皆さんやはりマスクを着けています。
名前を伝えてくれるのですが、知らない方も多く、聞いたことのない苗字もあり、聞き取るのがとても難しかったです。
「……すみません、もう一度お願いします」
何度も聞き返すのがつらくなって、
だんだん声が小さくなっていきました。
結局、私は名前を確認する役から外れ、受付の横で記念品を渡すことに専念することになりました。
役に立てなかった自分
頭では分かっています。誰かが悪いわけじゃない。
マスクも必要だったし、誰も私を困らせようとしたわけじゃない。
それでも、すぐには気持ちを立て直せませんでした。
「せっかく頼ってくれたのに」
「ちゃんとやりたかったな」
そんな気持ちが、
胸の中でじわじわ広がっていきました。
友人の大切な一日。
笑顔で祝いたかったのに。
記念品を渡している間は、うまく笑えていなかったような気がします。
結婚式は、とてもあたたかい、和やかな場所ですが、その裏で、スタッフの方は忙しなく動いています。
「ただでさえ忙しいのに私に時間をつかわせてしまうのは申し訳ない」
「空気を壊したくない」
そんな気持ちが先に立って、困っていることを言い出せないまま、時間だけが過ぎていってしまいました。
あの時の気持ちを忘れずに
今でも、あの日のことを思い出すと後悔の念が襲ってきます。
苦い思い出です。それでも、「こういう場面がある」ということを、
言葉に残しておきたいとも思いました。
聞こえにくい人にとって、なんでもないように思えることが難しいこと。
そして、「ちゃんとやりたかった」という気持ちが、
こんなにも心に残ること。
友人の結婚はとても嬉しかったし、式に参列できて本当によかったです。
ただ、あの日の私は、聞き返すことをためらった結果、苦い思いが残ってしまいました。
少しでも不安があれば難聴のことを伝える。
わからない時は聞き返す。
心に刻んだ出来事でした。



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