第6話 適応障害を経て~自分なりの働き方~

はじめに:先生になったあとの話

私は中等度難聴の小学校教員です。回り道に回り道を重ねて教員になったのですが、働き始めてからも聞こえの問題が数多く立ちはだかりました。

  • 子ども同士の小さな声でのやりとり
  • 後ろからや、遠くから話しかけられる声
  • 休み時間の喧噪の中での会話

疲労やストレスが重なり、耳鳴りがとまらなくなりました。通勤中に吐き気をもよおすようになり、適応障害と診断され、数か月間休職しました。

その頃の話は過去の「おはしが生まれた日」の記事で詳しく書いているので、読んでもらえたら嬉しいです。

復職して数年経ちましたが、今もずっと不安を抱えたまま過ごしています。今日は、適応障害になった私が、働き方を見直し、「自分に合う生き方」を模索している話を書きたいと思います。

続く「不安」とのつきあい方

復職したものの、仕事中の聞こえの問題は何も解決していませんでした。

  • 子どもとの会話
  • 保護者との電話
  • 会議でのやりとり

「ちゃんと聞こえなかったらどうしよう」
「確認不足でミスをしたらどうしよう」

休職中も、復職してからも、そんな不安が常に頭の中にありました。周囲に迷惑をかけたくない気持ちと、自分の限界との間で、苦しい気持ちになることが何度もありました。

退職の二文字が頭をよぎることもしょっちゅうでした。しかし、30代も後半にさしかかり、他の職種の経験や特別なスキルは何もありません。辞めるという決断はできませんでした。そこで、「辞めるか、続けるか」だけでなく、ひとまず「どうすれば自分にとって続けやすくなるか」ということを考えるようにしました。そのために、自分の働き方を一つずつ見直していくことにしました。

自分の「働き方」を整えるためにしたこと

📌 業務の見直し・効率化

  • 業務を精選し、優先順位をつける。
  • PCやデジタルツールを活用し、事務処理を時短化する。
  • 小さな時短術や「手間を省く工夫」を調べ、日々アップデートする
  • 意識して休憩する時間を取る。(耳を休める)
  • 無理のないスケジュールを組む。明日できることは明日にまわす。😂
  • 「頑張りすぎない仕組み」を意識してつくる。

業務の見直しと効率化を進めたことで、少しずつ、定時で帰れる日が増えてきました。小学校では毎日残業をしている先生がほとんどですが、私は会議や打合せが入っていなければ、できるだけ早く帰るようにしています。周りの目が気になることもありますが、自分が元気に働き続けるためと思い、割り切るようにしています。

📌 生活習慣を整える

  • 適度な運動をする。(軽い筋トレや散歩)
  • バランスの良い食事をとる。(野菜と肉多め、ごはん少なめ。腹八分でやめる)
  • 睡眠時間を確保する。
  • スマホやPCを見すぎない。

どれも劇的な効果はないと思いますが、以前よりも体が軽くなり、耳鳴りも少し落ち着いたように思います。気分が乗らない時は無理せず、ゆるーくやるのが長続きするコツかなと思います。

スマホやPCをひらくと、いやでも悲しい事件がたくさん目に飛び込んできます。気持ちが落ち込んでいるときには、そういう情報に心がひっぱられてしまいがちです。意識して見る時間を減らしています。

おわりに

働き方を変え、少しずつ心が落ち着いてきました。それでもまだまだ落ち込むこと、迷うことはたくさんあります。これからも何度も立ち止まり、悩むことがあると思います。

それでも、過去の失敗や理想に縛られすぎず、「今の自分を活かせる道」を、これからも探し続けたいと思っています。

今、進路で悩んでいる軽度・中等度難聴の方がいたら、伝えたいことがあります。「やりたい仕事かどうか」ということだけではなく、「難聴者が働きやすいかどうか」という視点も、ぜひ持ってみてください。

私の難聴は「進行性ではない」と言われていましたが、5〜10年単位で少しずつ下がってきています。今より聴こえが悪くなっても大丈夫か?そんなことまで考えておけると、きっと将来の安心につながると思います。

難聴の方が周囲にいらっしゃらない人にも、知ってもらえたら嬉しいです。

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